君が貸してくれた 90年代のCD 歌詞カードが 擦り切れる程の日々 古着屋で見つけた ダサいTシャツ 君は笑ったけど それが好きだった 二人で観た B級ホラーも あの頃の全部が 僕のはじまりだった 通り雨 あの日の匂いがして また癖で 駅前で右を見て なんとなく 猫を見ていただけだよなんて ねえ 昔 君がバイトしてた古本屋 閉まったシャッター 落書きは健在で 背伸びして借りた 恋愛映画 帰り道 二人で話した 理想の二十代 今はどうだい？ "頑張れ"の代わりに 黙ってた あの沈黙が 一番うるさかった ねえ 今も 君が住んでた街で 同じ景色を一人で眺めて コンビニで買った缶コーヒー 君が飲んでた 甘いやつにしてみた CDのブックレットの端っこに 君が書いた落書きの詩に 何度救われたかって話を 今さら君にできるわけもなくて でも まだ全部歌えてる